私たちは、すでに「医療限界社会」の入口に足を踏み入れている!~救急医療は、地域で支えることができるか~
NHKスペシャル番組で指摘した「医療限界社会」。
テックメディックス総研㈱代表 高野聖義氏の記事を見つけましたが、まさにそのとおりだと感じました。
特に本質的だと思うのは、医療の固定費構造に対する診療報酬の概念が、制度上ほとんど存在していないという点です。
救急医療は、患者が来てから対応するものではありません。
患者が来るかどうかに関わらず、常に対応できる体制を維持する医療です。
ここは、一般的なビジネスとは収益構造がまったく違います。
そして、その体制を支えるのは「誰でも良い人材」ではありません。
救急対応ができるスキルを持った人材だけが担える領域です。
しかし現実には、人口減少、病院の赤字化により、その救急医療人材は限られ、育成する余力そのものが失われつつあります。
これが、現場で起きている最大の危機だと感じています。
ここでよく期待されるのが「医療DX」ですが、私は医療DXは万能ではないと思っています。
DXは、
・業務負担の軽減
・業務の効率化
・医療の質の向上
を確実にもたらします。
一方で、救急医療は24時間365日、「人」が必ず必要です。
ここは、どれだけDXが進んでも置き換えることは容易ではありません。
だからこそ、私は、医療DXと人材育成を一体で進めることが重要だと考えています。
DXで時間と余力を生み、その余力を
・教育
・スキルの標準化
・救急対応可能な人材育成
に振り向ける。
これを意図的に設計しなければ、救急医療の存続は難しくなります。
さらに、働き方改革により、必要な人員数そのものは今後さらに増えていきます。
効率化で人を減らす方向ではなく、「育てながら、守りながら、効率化する」
救急医療が回り続ける「持続可能な設計」が不可欠です。
医療機関は、一般企業のような収益構造ではありません。
医療機器の高額化、特殊なインフラ環境、医療材料・診断薬・治療薬の高騰、一方で、診療報酬は抑制傾向にあります。
この状況で、もはや病院単体の努力には限界が来ているのです。
今日も、明日も、必ず誰かが救急医療を担っています。
それは止めることができず、ずっと続いていきます。
今日、救えた命が、明日は救えなくなるかもしれない、、、。
私たちはすでに、「医療限界社会」の入口に足を踏み入れているのだと感じています。
持続可能な救急医療体制には、固定費の対策、人材育成、医療DXによる効率化を一体として、医療機関だけでなく、地域で支える構造が必要であると、私は強く感じています。
このまま、現場の「医療人の使命感」に頼り続ける医療を、いつまで続けることができるのでしょうか。

