医療は、士農工商のような封建社会構造なのか?
※「士農工商」はあくまで比喩としての構造イメージで、身分を表したものではありません。
現場では、まるで昔の 士農工商 のように、“役割ごとに縦の階層がある”かのように語られることがあります。
実は、医療の「意思決定構造」と、経営の「意思決定構造」は、本来まったく別のロジックで動いています。
いわば、機能分化した専門職のネットワークです。
確かに、医師・看護師・技師・事務、それぞれに専門があり、一見すると上下関係があるように見えます。
けれど実際の医療は、場面ごとに主導権が入れ替わる「可変構造」です。
診療では医師が主導し、
ケアでは看護師が中心となり、
技術領域では専門職が意思決定を支える。
固定的な階層ではなく、状況に応じて“主役が変わる”チーム構造で成り立っています。
一方、経営の意思決定は別の軸で動きます。
どこに資源を配分するか
何に投資し、何を削るか
どの機能を維持し、どこを変えるか
ここでは、医療の専門性よりも、資源配分の最適化というロジックが主導しています。
ある意味で、「士」と「商」が入れ替わる瞬間がある。
そしてもう一つ重要なのは、
“最善の医療”が、必ずしも“社会にとって最適”とは限らないという現実。
限られた資源の中で、すべてに最大のコストをかけることはできません。
だから医療は常に、
「より良い医療」 vs 「持続可能な医療」
というトレードオフの中で意思決定されます。
現場の正しさと、経営の正しさがすれ違うのは、人の問題ではなく、構造の問題です。
医療視点と経営視点。
どちらが正しいかではなく、両立させる視点で考えることが重要なのではないでしょうか。
あなたの組織に、“士農工商的な構造”を感じる場面はありますか?
※本稿は、医療と経営の構造の違いを整理するための比喩的考察であり、特定の職種の上下を論じる意図はありません。

