人間の「ハルシネーション」を、AIは修正できるか。
医療の現場において、経験が生む「判断の速さ」は、チームに安心を与え、命を救う最大の武器になります。
しかし、その速さは時に「今回も同じだろう」という無自覚な前提、いわば、人間のハルシネーションを生み出します。
AIのハルシネーションが「もっともらしい嘘」を吐くことなら、人間のそれは「過去の成功体験」を信じ込むことです。
私は、人間のハルシネーションを二つに分けて考えています。
・故意のハルシネーション(感情や利益が絡むもの)
・無認識のハルシネーション(責任感と経験から生じる無自覚な思い込み)
修正が困難な「故意」に対し、「無認識」のバイアスはAIで解消できるはずであると考えています。
特に医療の専門職には、認知徒弟制という文化があります。
若手が先輩の「思考の型」を学ぶ一方で、現場の違和感を「そこ、違いませんか?」と言葉にしにくい構造も併せ持っています。
ここで生成AIを「答えを出す装置」ではなく、「思考の固定化を揺さぶる外部視点」にします。
AIが常に正しいとは限りません。
しかし自分が当然視している仮説に「別の視点」を差し込まれ、“はっ”と一拍止まる、その瞬間こそが、無認識のハルシネーションを自覚し修正するきっかけになるのではないでしょうか。
医療DXの本質は、単なる効率化ではありません。
「判断の妥当性を継続的に検証できる構造」をつくること。
それこそが、AIが人間に提供できる効率化と、もう一つの価値ではないでしょうか。
あなたの現場に、「はっと止まる一拍」 はありますか?

